昨年、とある方がこうおっしゃったんです。「完全無投薬の養殖ブリ作って」と。。。
作れないことはないでしょうが、生存率がかなり悪くなると当時、思いましたね。
水産医薬品不使用:畜養ブリへの挑戦
【株式会社こもこもShop:福島駿】
まず、完全無投薬の養殖ブリを作るにあたって、漁業権等の問題もあり、宇和島市蒋渕では現状、生簀の台数をこれ以上増やすことが出来ません。また、尾数が多いと魚病の発生率が高くなりますし、餌代などのコストをかけて試験養殖した個体が、全滅してしまっては私達のような中小企業はあっという間に経営が傾てしまうリスクがあります。蒋渕漁協や蒋渕地域の同業者へご迷惑をかけてもいけません。そこで、5年ほど使用して潮に削られ金網がボロボロでこれ以上は養殖で使えない、即ち解体を待っている状態の生簀を用いて3カ月間程度の畜養ブリを作ってみることにしました(3カ月後にはその生簀は陸に揚げて解体しました)。試験個体は100尾程度、平均4.0kg、餌は冷凍イワシのみ。
生簀解体までの3カ月間試験畜養(試験時期は令和6年10月~12月)!
ボロボロ金網生簀で網に穴が開いていても抜けない大きさの天然個体を厳選。
飼育1ヶ月目:天然の中間魚のため、餌食いが心配でしたが、問題なし!
注意事項:天然個体は、ブリ糸条虫などの寄生虫もおり、成長しにくい欠点があります。
飼育2ヶ月目:丸みが付き始める個体が出てくる!
と、同時にへい死する個体がちらほら出始めました。試験用の生簀(3000尾は池入れ可能)に対して伸び伸びと泳ぐことができる100尾での試験のはずですが、尾数を少なくてもへい死率は変わらないようですね。
飼育3ヶ月目:頻繁にへい死が出始める。餌が偏っているからじゃない?
イワシのみ給餌というのも良くないのではないかと思いましたが、今回は無投薬だからといって養殖ブリよりも高単価で売れる保証もないため、予算が抑えられるイワシのみ給餌に。
結論:80尾程度の出荷をしました。
餌はマイワシ、カタクチイワシはビタミンC欠乏症を100%引き起こすので不使用です。
完全無投薬は聞こえは良いけれど、生産者が赤字を出しては意味がありませんから、弊社として、引き続き取組みつつ、収益の安定性を図っていきたいそう思う取組みにしたいですね。